ツンと澄ましたビル群。そこから一歩とおりを隔てればそこには又別の街の匂いと風が吹く。その街に住む人々、ただ行き交うだけの人々なのか。

(中略)

群れを離れた一匹の羊が紛れ込んだ都会。カメラを持つことによってその視線に入ってくる現実は、屈折し別世界となって霞の中に浮遊する。

小心者の羊はその時パセティックなドラマでも見ている心地に陶酔してしまう。(後略)