昨年の夏、養老の滝を撮影に行ったとき、近くにあるお千代保稲荷の川魚料理店で、鯰のかば焼きを初めて食べました。十年ほど前、ここで食事をしましたが、鯰のかば焼きは時価とあったので止めたのが、妙に心残りとなっていたからです。
 ついでに、参道の雑踏をスナップしてみました。始めは軽い気持ちだったのが、いつの間にか夢中で写していました。お千代保稲荷に吸い寄せられるように集まってくる、飾り気の無い、したたかに生きている感じの参道の人たちとか、素朴な門前町のたたずまいが、とても好ましく思えてきたからです。
(写真集「稲荷参道」 ごあいさつより)